大学で建築を学ぶ中で、設計が面白いと思ったのでこの道に進むことにしました。当初から、将来は岐阜で独立したいという思いがありましたので、岐阜の設計事務所に入所し、設計の経験を積んできました。
デザイン上の特徴として、取り立てて意識しているものはありません。日々、興味は変わっていきますし。もっとも、お客様に合わせてゼロから作り込んでいくというスタンスは変わりません。
私は、建築家だからこそできる省エネ住宅にこだわっています。今後も、メーカーではできない工夫を見つけていきたいと考えています。東日本大震災以降、その思いをより強く抱くようになりました。この事務所の建物も断熱、冷暖房を工夫した造りになっていますので、実際に来て頂くと、断熱、冷暖房を工夫することの重要性がよく分かって頂けると思います。是非、ご遠慮なくお越しください。
吉田兼好の「徒然草」に、「家の作りようは、夏をむねとすべし。冬は、いかなる所にも住まる」という有名な一節がありますが、私は冬をむねとすべきと考えています。夏涼しくするために必要なエネルギーよりも、冬暖かくするために必要なエネルギーの方が大きいのです。昔は、家の中で火を焚いていたから、冬でも暖かかったのでしょう。現代ではその前提が崩れていますので、冬にも快適に生活できる家を目指すべきなのです。
省エネは結果の一つにすぎず、そもそも冬に快適な生活をできること自体が大変豊かなことなのです。断熱というと、エコやコストの話ばかりに集中してしまいますが、年中快適な生活をできるということ自体の価値にもっと気付いて頂きたいと思います。
また、以外と知られていませんが、健康に対する寒さの影響は大きく、室内の低温は万病のもとです。例えば、急激な温度変化で体調が急変するヒートショックというものがありますが、入浴中の事故死だけで年間1万9千人以上と推計されていて、これは交通事故死の4倍以上に当たります。コストの事を考えるとき、光熱費削減効果だけを考える人が多いのですが、健康が保たれて払わずに済む医療費や介護費を含めて考えるべきでしょう。ある試算によると、断熱工事費の投資回収年数は、医療費削減効果も含めた場合は、光熱費削減効果だけを見込んだ場合の半分になるとのことです。もっとも、健康はお金では測れません。寒い家で暮らすことによって失われる健康のことを、もっと考えて欲しいです。欧米では、健康への配慮から住宅の最低気温を規制する国が多いのです。
高断熱は、結露に伴うカビやダニ、アレルギー症状の解消など、多くの意義を持っていることも知っておいて頂きたいと思います。
まずは、情報を幅広く集めるべきだと思います。建築家に頼むのであれば、時間をかけて話を聞いてくれる人にお願いすべきでしょう。
ハウスメーカーによる建物と建築家による建物の違いの一つとして、自由度の大きさがあります。ハウスメーカーはスピードが求められる中でやっていますので、自由度は小さいです。お客様ご自身が、どちらを求められるか次第だと思います。
建築家に頼むことのメリットとして、建築家が専門的な知識の翻訳をしてくれるということもあります。お客様と工務店との関係は、情報量の点から言って対等とはいえません。建築家が間に入って円滑に橋渡しをすることで、お客様の利益に繋がるといえます。
建築家も、人によって特徴が全く違いますので、多くの人と会えた方が良いと思います。後は、直観ですね。
私個人の思いですが、家を建てられる方には、どんな暮らしをしたいか、もっと夢やビジョンを持って頂きたいと思っています。どうしても、間取りとか、メンテナンスとか、細かなことに目が行きがちです。家を手に入れるのではなく、暮らしを手に入れるのだということを分かって頂きたいといつも思っています。
柳瀬の家をご紹介します。
神戸町に建つ2階建ての木造住宅です。
敷地面積が比較的小さく、生活道路のすぐ脇に家が建つことになりました。そこで、スキップフロアを利用して、道路を通行する人や車の視線や音を避けるように空間を構成しました。
1階から2階まで空間が緩やかにつながり、風や光も行き交います。隣のご実家ともほど良いコミュニケーションが可能になりました。
1997 | 岐阜高校卒業 | Graduated from Gifu senior hign school |
2004 | 名古屋大学 社会環境工学科 建築学コース卒業 | Graduated from Department of Architecture,Nagoya University |
2005 | 株式会社 向井建築事務所 | MUKAI Architecture Associates |
2009 | スペースワイドスタジオ開設 | SPACE WIDE STUDIO |
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